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「四季綴り-薄桜鬼異聞」
土方編

A-3 Even if you forget it, I remember all

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止まない雨音に顔を上げた
まだそれほど遅い時間ではないのに、部屋が薄暗いのはこの雨のせいかもしれない
ふうっとひとつ息を吐き縫物の手を止めると、巴は静かに腰をあげた

そっと障子戸を開けると、縁側の向こうに大きくはないが手入れの行き届いた庭がある
巴がここに来たときは誰も手入れをしていなかったから荒れ放題だった庭
別に庭仕事が好きだったわけではないが、そのままにしておくのも忍びなく、そして時間もあったので、なんとなく手入れを始めたのだが

「わたしって庭師の才能もあったのかしら」

雨露に濡れ首を垂れる緑もどこか風情がある気がして
巴は目を細めた



「これ、なんの花だ?」
「うわああ!」

我ながら素っ頓狂な声だとは思ったが、そんな声が出てしまうほど、原田の登場は突然だった
人の気配など全く感じなかったのに、いつのまにこんなに至近距離に近づいていたんだろうと、巴はわたわたと後ずさる

「おいおい。まるで幽霊でも見たような声だな」
「原田さん!」

驚く巴の肩にさりげなく腕を回すと、原田はそのまま屈みこむ
原田の手はしっかりと巴の体を拘束していたから、巴もその隣にしゃがみ込まざるを得なかった

「なあ、これ。なんて花だ?」

耳元で低く囁かれ、巴は身を強張らせたけれど、原田はお構いなしだ
その鳶色の瞳は、巴ではなく緑に混じって咲いている小さな白い花の固まりを興味深げに見つめている

「…こでまり、です」
「こでまり?」
「菊の仲間で、これからがちょうど盛りの花です」

荒れ放題だった庭を丹精込めて手入れをしたのは、別に花が好きだったからというわけではない
もっと言えば、他にやることがなかったからだ
もともと新選組の屯所では、平隊士たちが当番制で日々の雑事をこなしていたから、巴一人が増えたところで、意味はない
むしろ屯所に女がいるということで隊士たちの間で無用ないざこざが起こる可能性があったから、巴の存在は屯所の奥深くで秘匿された
土方が巴に許したのは主だった幹部連中の身の回りの世話だけで、そんなものは慣れてしまえば手際もよくなり、あっという間に終わってしまう
持て余す時間を潰すために始めたのが庭の手入れだった

「そういえば、この庭でおまえが初めて育てた花って」
「夾竹桃です」

くすり、と巴は笑う
あれは、屯所で初めて迎えた夏のこと
夾竹桃の毒を湯呑に仕込んで副長室に運んだが、結果は巴の惨敗だった

「もう夾竹桃で狙うのはやめたのか?」
「あの人は毒なんかじゃダメだってわかりましたから」
「そいつは良かった」

知らぬものが聞けばとんでもない内容の話なのだが、巴の表情は明るい
楽し気に笑う巴に原田は目を細めた

「花の手入れもいいけどよ」

不意に、原田の大きな掌が巴に手を包み込む

「たまには自分の手入れもしろよ」
「え?」

きょとんと眼を瞬かせる巴に笑いかけると、唐突に原田は立ち上がった
そのまま庭を横切り、さっさと裏木戸へと向かってゆく

「原田さん。これ!」
「若い娘の手が荒れてるのは、見ちゃいられねえんだとよ」

それだけ言うと、原田は裏木戸から出て行った
巴の手に残されたのは小さな箱ひとつだけだった



雨音を聞きながら、巴はそっと着物の胸元に手を入れる
取り出したのは、色あせた小さな箱-あの日、原田に渡された箱だ

「…ほんとに、あの人ってば」

箱を見つめながら巴は苦笑する
あの後、箱を開けてみれば、中身は軟膏だった
それが肌荒れに効果がある軟膏だと教えてくれたのは斎藤だ
庭仕事をしていれば、当然手も荒れる
それを見かねて原田が用意してくれたのだと思ったのだが

副長が買い求めておられた

あの日の斎藤の静かな声は、まだ耳に残っている
それを聞いて、信じられないと否定したかった自分と
けれどどこか納得した自分もいて


あれから月日は流れ、あの頃ともに過ごしたひとはみな散り散りになってしまった
時代は動き、京で、江戸で戦いが始まる中
彼らが-彼がどこで何をしているのか、巴に知る術などあるはずがなく、この江戸で原田と偶然再会したことは、まさに奇跡に近いだろう

「結局、お礼も言えないままじゃない」

小さな箱を大事そうに掌に握りしめながら、巴は静かに目を閉じた

土方ルートです だれがなんと言おうと土方ルートです!

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~ Comment ~

 

原田…♡

NoTitle 

アップお疲れ様!
原田が色っぽくて好きだわー
後ろから腕回してあの声で囁かれるのはやばいよね。
本編でもそんなスチルあるけど、思い返すだけで耳がデンジャラスよ。
でも結局夾竹桃の話で土方思い出して、そっちに神経行っちゃう巴かわいい。
目の前のいい男を(無意識で)華麗にスルーする女の子って好きなんだなあ。
その後のくだりも素敵なの。
斎藤の一言で真実を知るっていう。
キュンとくるよね…

さて、あまり書いてると次の話のネタまでうっかりしゃべっちゃいそうだw
実際書いちゃって「おおうっ」と慌てて削除したさ。
とにかく原田はいい男!

NoTitle 

あとさ。
土方のさりげない優しさもいいよね。
自分が買ったことなんておくびにも出さないで。
きっと気付いてほしいとも思ってないんだろうな、と。

で、その気持ちを汲んでやる原田がまた良いよね。
これまた(土方の影を)チラリとも匂わせないっていう。

斎藤はいいの。あれでいいのw

私最近、自分でもろくに書かないし、よそ様の話もほとんど読んでないの。
だから久々にこうやってじっくり読んでるとさ。
ちょっとしたエピソードも、グッとくる。

いい気持ちだ~~

A-4 もうすぐクリスマス。でもリレーにそんなの関係ねえ! 


「つぅっ…!くそったれ」

痛む体を忌々しく思いながら土方は吐き捨てた。
戦うことしか出来ない自分が何故療養を強いられなければならないのか。
(こんなところでのんびり寝てられるかよ)
そう心が叫んでいるのに、体は全くもって言うことを聞かない。

どう頑張っても起き上がるのは無理と悟り、彼は仕方なく天井を仰ぐ。
じくじくとする傷口。血の滲んだ包帯。塗られた薬はべたついて気持ち悪いだけだ。

薬?

「軟膏…か。懐かしいな」

不意によみがえる巴の顔に、土方は苦笑した。

記憶の中の彼女が笑っていることはほとんどない。
大抵は真剣な面持ちで目を合わせてくるか、
悔しそうにこちらを睨んでいるかどちらかだ。

(どうせなら、笑顔を覚えててやりたかったけどな)

そこまで考えて、土方はそういえばと思い出す。
あれは巴のためにと軟膏を買い、自分で渡すのもなんだからと原田に託した少し後のことだ。



不逞浪士との小競り合いで土方は腕を斬られた。
傷は浅く利き腕でもなく、大事には至らなかった。
が、少し大人しくしていろと近藤に命じられ、自室で書類に目を通していたその時。

巴が血相を変えて部屋に飛び込んできた。

「斬られたって…!」

真っ青な顔で、慌てふためいて。
手には土方の買った軟膏を持っていた。

「これを塗ってください」

もう治療は済んでいるのに、早口で言って蓋を開けようとする巴。
彼女の手に、土方はそっと触れた。

「大丈夫だ。それはお前のもんだろう?無駄遣いするんじゃねえよ」

そこで軟膏に目を落としていた巴が顔を上げた。

「!!」

彼女は驚きを隠せないといったように口をぽかんと開ける。

「なんだよ」

「…笑ってる…」

「あ?」

自分が微笑んでいたことにようやく気付いた土方は、瞬時にいつもの仏頂面に戻る。
やがて巴の軽やかな笑い声が響いた。

「初めて見ました」

(お前の笑った所だって初めてじゃねえか)

そう言い返してやりたかったが、彼女が即座に笑みを引っ込めてしまう気がして土方は口をつぐんだ。
もう少しだけこの穏やかな空気に包まれていたかった。


しばらくして土方は言った。

「礼に、いつか一つだけ願い事を聞いてやるよ」

「お礼?何のお礼ですか?」

彼は答えなかった。
仇である自分を心配してくれたこと、笑顔を見せてくれたこと。
それに対しての礼だなどとは口が裂けても言う気はなかった。




追憶と共に療養生活を終え、土方は母成峠の戦いへと身を投じることとなる。





*前話のタイトルから思いついた話
  • #3725 借りぐらしのぐりエッティ 
  • URL 
  • 2016.12/15 22:50 
  • [Edit]  ▲EntryTop 

ぐりりん&下宿人さんへ 

アップありがと!

これは江戸から北へ北へと転戦してる時期だね
なんか懐かしい・・・
久々にさ、カッコいい副長を思い出したよ
なんての?
初めて薄桜鬼をプレイして、副長コースにどっぷり浸かってさ
あの背中に惚れたころを思い出した

巴とのやりとりもさ
綺麗な髪を束ねてる副長のスチルがよみがえってきた!
ごめんね副長!
なんか初心にかえった気がするよ!

ヒロインが「千鶴」じゃないからかな
書いてても読んでても新鮮なんだよね
「千鶴」なら、なんとなく次の展開がわかるじゃない?
一応、ベースがあるわけだから
でも「巴」はそうはいかない!
ぐりエッティさんがどうくるか皆目見当つかないからさ

>自分でもろくに書かないし、よそ様の話もほとんど読んでないの。
>だから久々にこうやってじっくり読んでるとさ。
>ちょっとしたエピソードも、グッとくる。

まさに同感!
わたしも、最近は書くのも読むのも遠のいてて
だからすごく楽しいよう!

・・・しかし。
この後の展開、どーすっかな
しばし悩む!





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