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「繊月花-新撰組外伝-」
君に恋をした-桂小五郎の恋-

20 真昼の夢 真夜中のうつつ

 ←その瞳に映るもの →爪の先まで僕の

その方と逢うのは初めてじゃなかったけれど、直接言葉を交わしたことはなかった
郭では名の通った方で、身銭を切ってでもお座敷に呼ばれたいって
そう姐さんたちが話しているのを聞いたこともある
確かに素敵な方だとは思ったけれど、そのまなざしはあまりにも強くて
憧れよりも怖さの方が大きかったから
だから

襖を開けたその奥に彼が座っていた時は、体がすくんでしまったことを覚えている

「…なんで」

思わずそう口にしてしまったわたしに、彼は皮肉めいた笑みを寄越した

「客に対する花魁の言葉とは思えねえな」
「す、すみません!」

慌てて頭を下げながら上目遣いに彼を見ると、まともに視線がぶつかってしまって
わたしは今度こそ深々と頭を垂れた

「頭を下げるために座敷に来たわけじゃねえだろう」

淡々とした声に恐る恐る顔を上げると、盃を口に運ぶ彼の姿が見えて

「あ、あの」
「こっちへ来て酌をしろ」

戸惑うわたしのことなどお構いなしに、彼は顎で膳を示す
わたしはそっと彼の傍に腰を下ろした

「ど、どうぞ」

酌をするわたしの手はわずかに震えていたけれど、彼は何も言わなかった
注がれたお酒を一口で飲み干す彼をわたしはただただ見つめることしかできなくて

「…挨拶もなしか」

銚子を一本空にした頃、彼が低く告げる
なんのことを言われているのかすぐにはわからなかったほど、わたしは緊張していたのかもしれない

「初めての客に挨拶もないのかって言ってんだ」
「…あ!」

言われて初めて気づく
そういえばわたしは挨拶どころか、名前すら言っていなかった
もちろん彼はわたしのことは知っていて、だからこそこうして名指しでお座敷に呼んでくれたのだけれど、そういう問題じゃない

「ご、ごめんなさい!」

このお座敷に来てから、慌てることしかしていない気がする
そんなことを思いながら、わたしは彼から少し離れて畳に指をついた

「あ、あの染花でございます。どうかご贔屓に…」
「…あいつの趣味がわからねえな」

その声は低くてよく聞き取れなくて
だけど聞き返すことなんて出来なくて
たぶんわたしは滑稽なほどおろおろしていたんだと思う
それまでどこか不機嫌そうにさえ見えていた彼が、くっくと咽喉の奥で笑い声を立てた

「あの」
「そう緊張するな。なにも取って食おうってわえじゃねえ」

手酌でお酒を注ぐ彼をわたしは黙って見ていることしかできなかった
本当なら、お客様にそんな真似をさせちゃいけないのだけれど
彼の全身から感じられる「なにか」はとても近寄りがたいものだったから

わたしなんかがお相手できる方じゃない

理由なんてわからないけれど
あの時、心からそう思ったことを覚えている


「-どうした?」

耳に届いた穏やかな声に、わたしは我に返った
顔を上げると、優しい眼差しでわたしを見つめる彼がいて
わたしはそっと彼の腕に手を絡めた

「珍しいな」

そう言いつつ、彼がその手を拒むことはなくて
温かい微笑みでわたしを包んでくれる

あの方とは正反対だ

そこにいるだけで、次の瞬間斬られてしまうんじゃないかって思うくらいの緊張感と
そこにいるだけで、ずっと寄りかかっていたいと思ってしまう安心感

まるで正反対のふたりなのに

「…高杉さまはお元気でしょうか」

は?と、驚いたように彼は目を瞬かせる
それはそうだろうと思う
わたしの口から高杉さまの名前が出るなんて、初めてのことだから
それでも彼は、理由を追及したりなんかはしない
かわらぬ笑みを浮かべたまま、遠く空の向こうを見つめる

「あいつのことだ。江戸でも自由気ままにやってるさ」
「-そうですね」

透き通った秋の空に、この人はどんな思いを馳せているんだろう
それをわたしに聞かせてくれる日は、きっと来ないけれど


なにをしようと勝手だがな
奴の足枷にはなるんじゃねえ


不意に脳裏によみがえったのは
あの夜 あの方が告げた言葉
それをかき消すように見上げた空を
二羽の鳥が横切っていく

大きな翼をはためかせて

*ようやく再開の桂話w書き始めてすでに1年なのに未だ終わる気配がないww

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~ Comment ~

NoTitle 

アップお疲れ様ー
これも最後のシーンがいいなあ…
二羽の鳥。
桂と高杉かしら。
自由にはばたく二人の邪魔をしたくないって、染花が思ってるような気がしたよ(違ったらすまぬ)

 

アップありがとですっ!

なんだろう、この、高杉さんがかっこいい感じ。
ってか、高杉さん!!そんなこと言ったら、染花、身を引いちゃうじゃんー!!
…っていう、桂さんとらぶらぶになりたいあーやんの妄想感想♡は置いといて。

私は今回のお話、桂さんと染花っていうよりは、1人の遊女を介した、桂さんと高杉さんのお互いへの思い…っていうか、そういうものを感じたよ。
あ、決してBL的な意味ではなくね!
続き、気長に待ってる♡

ぐりんグリーンさん&あーやん 

読んでくれてありがとー!
ほんとに間があいてしまって
我ながらビビってる桂の恋物語
なんとか、なんとか年内には・・・・・っ!

◇ぐりんたん

うん
二羽の鳥は、高杉と桂だ
やっぱこの二人は狭い世界は似合わないと思うんだー

>自由にはばたく二人の邪魔をしたくないって、染花が思ってるような気がしたよ

染花は、あやめとか晴子太夫とかとは違って
めちゃくちゃ頭がキレるとかクールとか大人とかじゃないけれど
何を求められてるかってことは敏感に察知することはできる子だし
やっちゃいけないこともわかる子だから
自分の気持ちを押し付ける子でもないし

というところで終わっておかないと
これ以上はネタバレになるw ←というほどネタはできてねえけど

◇あーやん

お待たせしすぎてごめんよう!
そして待たせた上に、おいしいとこは高杉が持ってくという

>1人の遊女を介した、桂さんと高杉さんのお互いへの思い…っていうか、そういうものを感じたよ。

桂と高杉は、遠く離れていてもお互いのことはわかりあってる
・・・という設定で書いてるので、あーやんがそう感じてくれてうれしいっす!
そんな二人に挟まれて、染花がどうするかが今後のカギだなあ

>続き、気長に待ってる♡

ね、年内には・・・・・


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