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「四季綴り-薄桜鬼異聞」
始まりの章

4 Made in a cage in which the pupil catch me

 ←そして誰もいなくなった →十六夜に肩を寄せ合い見た月の

京の冬は寒く、それは江戸の比ではない
ただ寒いだけなら、例えば着物を何枚も重ねれば少しはましになるし、暖も取れるかもしれない
けれど京独特の「底冷え」というやつは、それくらいで凌げるものではなかった
文字通り身体の芯から冷え切り、手足の先の感覚がなくなることもざらだ
いざという時に刀を握れなくては話にならないから、この寒さに慣れるために日が昇りきる夜明け前に鍛錬をしようと言いだしたのは誰だっただろう
めんどくさいと文句を言いつつ、それでも鍛錬を欠かさなかったおかげだろうか
今はこの寒さにも慣れて、やたらと身を震わせることも少なくはなったけれど

火鉢どころか、蝋燭ひとつない蔵じゃあ凍えるだろうね

総司は高い位置にある蔵の窓を見上げた
窓には、侵入防止のために取り付けられた鉄の格子がかかっている
ふと視線を動かすと、これまた頑丈な南京錠のおりた大きな扉

ここまで厳重にするほどの相手じゃないと思うんだけどね

見張りがいないだけましかなとうそぶきながら、総司はゆっくりと扉に手を添えた
袂から取り出した鍵を静かに鍵穴に差し込むと、もう一度窓を見上げる

なんだって僕がこんなこと、しなきゃいけないのさ

やれやれと溜息を吐きながら、総司は静かに鍵を開けた


「どうするの?」

言葉の意味とは裏腹にその口調は飄々としていて、別に答は求めてないよとでも言いたげな総司に、土方はあからさまに貌を顰める

「どうもしねえ」

声に色をつけるなら、限りなく黒に近い灰色だったかもしれない
そんな風に思えるほど、土方の様子は浮かない
いつもの怜悧さや潔さは欠片もなく、他の誰にも見せたことはないだろう躊躇いのようなものさえ感じられて、総司は目を見開いた

「珍しいね。土方さんが迷うなんてさ」
「別に迷ってるわけじゃねえよ」
「じゃあ、さっさと片付ければいいじゃない。めんどくさいことになる前にさ」
「だから何度も言ってるだろうが。むやみやたらと人を斬るんじゃねえ」
「あれ。僕にそんなこと言うんだ」

その言葉に、土方はちらりと総司を見たけれど、何も言わなかった
ふうっと大きく息をつくと、文机の前に腰をおろす

「俺はまだやることがある。てめえはもう寝ろ」
「寝ろって、あの子はどうするのさ」

あの子
それが、つい半刻ほど前に町の裏路地で身柄を拘束し、そのまま蔵に放りこんだ娘のことだということは、もちろん土方もわかっている

「朝になったら身元を聞いて、怪しいことがなけりゃ解放する」
「僕らはあの子の目の前で人を斬ってるんだけど?」
「人斬り集団の壬生狼って呼ばれてる俺たちが、人を斬ることなんざ珍しいことでもなんでもねえ。あの娘が町方に駆けこんだとしても、どうしようもねえさ」

だから解放しても問題はない
土方の言い分はわからなくもないが、どこか腑に落ちないものを感じ総司は目を細める
背を向けてはいたが、気配でわかったのだろう
土方は肩越しに振り返ると、鋭い眼差しを総司に向けた

「変に勘ぐるなよ。俺は無駄な殺生をするつもりはねえだけだ」
「・・・まあ、いいけどね」

意味ありげに笑みを浮かべつつ、総司は腰をあげた
ここにいても新しい展開になりそうにもないことは予測できたし、刻限はもう真夜中をとうに過ぎている
夜の冷気は障子を閉め切った部屋にも容赦なく忍びこんできた

さっさと火鉢で温まった部屋に戻り、布団にもぐりこむとしよう
明日もまた忙しくなりそうだし

まるで猫のようなしなやかな身のこなしで部屋を出て行く総司の背中に、低くくぐもった土方の声が届く
その言葉に、総司は面白そうに目を輝かせた

-てめえの部屋の火鉢、蔵に持ってけ


総司は小脇に抱えた火鉢を足元に置いた
夜目が効くから、灯りひとつない暗闇であっても中の様子は充分知ることが出来る
道具や木箱が雑多に置かれた室内の片隅に、小さな影がうずくまっていた
影は、総司の気配を感じ取ると僅かに身を強張らせたように見えた

「…誰」

窓から差し込む月明りに輝く瞳が、まっすぐ総司を見据えていた


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~ Comment ~

NoTitle 

アップお疲れさまー
時系列戻ったかーw

>ここまで厳重にするほどの相手じゃないと思うんだけどね

私もそう思うぞ。
土方ももう訳分かんなくなってるのか?私みたいにw

>「朝になったら身元を聞いて、怪しいことがなけりゃ解放する」

お、開放するつもりだったのねん

>「変に勘ぐるなよ。

す、すみませんでした 汗
でも勘ぐっちゃうよねえ
土方が何考えてるのかさっぱり分からんわ。
なのであえて触れないでおこうと思うよw

>-てめえの部屋の火鉢、蔵に持ってけ

土方さんなにげにひどいw
もっと総司に優しくしてあげてよぅ

>窓から差し込む月明りに輝く瞳が、まっすぐ総司を見据えていた

ここ、なぜか闇のパープルアイで想像しちゃって、
それから逃げられなくなったんだけど。
どうしよう。
この子ヒョウにしちゃう?

しねえよ!(一人つっこみ)

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

ぐりんたん 

うん時系列戻したw
でもあんまり意味はないので、気にせず進めてねー!

>土方が何考えてるのかさっぱり分からんわ。
>なのであえて触れないでおこうと思うよw

いやそこは触れようよw
でないと話が進まねえし

>土方さんなにげにひどいw
>もっと総司に優しくしてあげてよぅ

それはムリ(きっぱり)

別にねー
総司オチとか、そういうのは関係なくさ
やっぱ総司視点って書きやすいわ―
愛してるわけじゃないのに

>ここ、なぜか闇のパープルアイで想像しちゃって、
>それから逃げられなくなったんだけど。

懐かしすぎて涙でる!
これまた読み返したくなるけど、引っ越しの時に全巻売っちまったよw

>この子ヒョウにしちゃう?

それもまたよろし(*^_^*)

5.月明りしかないから 

「もっと火の近くに来たら?せっかく持ってきてあげたのに」

その人は火鉢のすぐそばで、呆れた顔をして私を見ている。
私が近寄るとでも思っているのだろうか。

そんなことするわけない。
施しなんか受けない。凍え死んだってかまわない。

私は、私の気持ち全部を乗せてその人を睨みつけていた。

根負けしたのか、その人はため息をついて言った。

「そんなに好きだったの?」

「は?」

「僕らが斬っちゃった、君のお相手」

斬っちゃった、なんて軽く言われて腹が立った。
一体何様のつもりなんだろう。
貴方達はそんなに偉いの?人の命を奪っても許されるほどに?

「ねえ教えてよ。どのくらい好きだったの?」

口調は相変わらず軽かった。

でも

その瞳がわずかに真剣味を帯びていて、私は少し驚く。

「言いたくありません」

そう答えながら、私は死んでしまったあの人を思い出す。


…実をいうと、好きだとかそんな風に思ったことなんかない。
親が決めた相手だったから。
顔を知ったのもつい最近だ。
話したことだって数回しかない。

それでも、あの人と生きていくんだと決めていた。

この世はそういうものだから。

好きとか愛とか、そんな気持ちは絵草子の中にしかない。
至極当たり前のことだ。


「教えてくれないんだ、残念」

お預けをくらった子供みたいにその人が言う。
その無邪気さに苛立ちが募り、私は言葉を返した。

「…言ったって分からないんじゃないですか?」

「え?」

「貴方達みたいな人斬り集団に、誰かを好きになったり
誰かを大事に思う気持ちなんてきっと分からない。
分かるはずが――」

「そうかな」

遮られて、私はつい口ごもってしまう。

「な、何が言いたいん――」

「女の人を好きになったことはないけど、僕には大事に思う人がいる。
その人を守るためならこの命くらい、どうってことない。

君も同じなのかもしれないって思ったんだ。
もしそうなら…君に謝ろう、って」

月明りしかないからその人の顔はおぼろげに浮かんでいるだけだ。
でも翡翠の瞳が悲しげに光るのが分かった。


…綺麗だと思ってしまった。


そんな自分に益々腹が立つ。
「君と同じかも」と言われたことも悔しい。
多分、同じじゃない。
私にはきっとあんな目は出来ない。

これじゃまるで、私の方が浅はかな人間みたいだ。

ああ、もう。
もう!

なんでこんなところに閉じ込められているんだろう。
月明かりも、冷える地面も、火鉢も、目の前の人の視線も。

全部憎たらしい。

「…もう行ってください。火鉢なんか要りません」

目を合わせるのが怖くて、うつむいたまま喋る。

「うん、ごめんね」

ごめんという言葉が何に対してだったのか。
私には分からなかった。


  • #3690 借りぐらしのぐりエッティ 
  • URL 
  • 2016.10/19 22:28 
  • [Edit]  ▲EntryTop 

居候のグリエッテイさん 

どっひゃーーーー!
気を抜いてたらいつのまにやらアップされとるw

そうか
こうきたか!

本筋とは全然関係なくて申し訳ないけどさ

>好きとか愛とか、そんな気持ちは絵草子の中にしかない

これ読んでさ
総司の恋物語のあの子、思い出しちゃったよ

ちなみにさー
タイトルは「そのまなざしが僕(私・俺でも可)を捉える檻になる」みたいなイメージだったんだけど
なんか、それっぽい続きになってて嬉しい!!

NoTitle 

遅くなったけど書いてみたよ

>居候のグリエッテイさん

微妙に変えるなw
あと、ぐりエッティなのがこだわりなのにっ
別にいいけどw

うん、タイトル、自分でちゃんと訳したよ。
聞くの悔しいじゃん。
だからがんばったw

ぐりんたん 

ぐりエッティにこだわりがあったとは!
気付かずすまぬ!

>うん、タイトル、自分でちゃんと訳したよ。

すごい!
実は私は、和文を打ち込んで英訳ソフトで変換してるぞw
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