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「四季綴り-薄桜鬼異聞」
始まりの章

2 If I were you

 ←序章 It was the beginning of everything →そして誰もいなくなった

うるさいほどの蝉の声で目が覚めた
耳障りなその声が暑さを増していくようで、思わず顔を顰める
京で過ごす夏には慣れたつもりだったが、この蒸し暑さはどうしても好きになれなかった

夏は暑いもんだ

どこかの副長は涼しい顔をしてそう言ったけれど
年寄りは暑さ寒さを感じないらしいよと言い返したら、眉間の皺が三本増えていた

夜でもうだるような暑さのためすっかり用を成してはいないものの、それでもまだ体に纏わりついていた掛布を足で蹴飛ばし体を起こす
生温い風が吹き込む方に視線をむけると、開けっ放しにしてあった襖の向こう側に大きくはないけれど手入れの行き届いた庭が見えた


あなたたちが斬ったのは、夫婦になると約束した人です

凍てつく冬の夜
静寂にこだました悲痛なまでの娘の叫び
このまま斬っちゃう?と鯉口を切ったのは自分で
それを止めたのは土方だった

「なんで止めるのさ」
「なんでもかんでも斬るんじゃねえよ」

いつも不機嫌な貌をしている土方だったが、この時は不機嫌というより困惑の色の方が濃いように見えた

「だって見られたんだし」

放っておいたらめんどくさいことになるじゃない
それに夫婦になる約束をしてたんなら、一緒に斬ってあげる方が幸せなんじゃないの

言葉にはしなかったが、総司の言いたいことはお見通しだったのだろう
土方は小さく舌を打ち、脇に抱えた娘に視線を落とす
娘は唇をかみしめながらも、射るような眼差しで土方を睨みつけていた

「…とりあえず屯所に連れて帰る」

手足をばたつかせ暴れる娘の腹部に拳をいれたのは総司だった
加減はしたつもりだったが、いつも相手にする不逞浪士とは身体の作りが違うからか
華奢な身体はあっさりと前のめりに倒れ込み、娘はそのまま気を失った

屯所に連れ帰ったものの、扱いに困ったのかもしれない
土方は有無を言わさず娘を蔵に放りこんだ
その頃にはもう娘は意識を取り戻していたけれど
分厚い扉を閉める瞬間、蝋燭ひとつない暗闇の中から聞こえたのは
泣き声でもなく悲鳴でもなく

赦さない

その一言だった


季節は巡り、あの夜から半年以上が過ぎた
あの夜、なぜ土方が娘を屯所に連れ帰ると決めたのか、本当のところはわからない
まだ年端もいかぬ小娘だ 
殺すのは忍びないと思ったとしても不思議ではない
鬼だなんだと恐れられているが、妙なところで情が深い男 それが土方でもあったし

だからといって、自分たちを仇と呼んで憚らない人間を傍に置くなんて酔狂以外のなにものでもないけどね

真夏の日差しが庭先で煌めく
壬生狼と囁かれる男たちに、庭木の手入れをするような気配りがあるわけがない
事実、昨年の今頃は荒れ放題で、咲き誇る花など無縁の庭だったのだが

今が盛りの夾竹桃が白い花弁を広げている様に、総司は僅かに目を細めた


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~ Comment ~

 

なるほど夾竹桃。
私はなんとなく白で想像したよー
総司の腹パンがすごく衝撃的だったw

3.世間話は夾竹桃から膨らんだりする 

「その夾竹桃、毒があるって知ってるか」

声に振り返れば、いつの間にか背後にいた土方が総司を見ていた。

「へえ、知らなかったな。顔に似合わず物知りなんですね土方さんは」
「一言多いんだよお前は。まあ俺も知らなかったんだけどよ、あいつに聞いた」
「あいつ?」
「てめえの男を殺されて、俺達を恨んでるあいつだよ」
「ああ、一緒になるはずだったご亭主を土方さんに殺されて、土方さんに恨み骨髄で、
今は土方さんの命令で屯所から出してもらえない、あの子ね」
「あのなあ…大体斬ったのはお前だろうが」
「で?どうしてあの子と夾竹桃の話になったんです?」
「俺の茶に一服盛られた」

総司は一瞬目を丸くし、吹き出した。

「大胆だなあ、あの子も」
「いつもと匂いが違ったからよ、おかしいと思って口を付けなかったんだ。
そしたらあいつが湯呑みを下げる時、じっとこっちを見ててな。
"残念だったな、飲んでねえよ"ってカマかけたら白状しやがった。
俺に飲ませるために苦労して手入れしたのに、ってな。
随分悔しそうな顔してたぜ」

夾竹桃の毒性についてはそこで聞いた、と土方は言う。

娘が土方に何かを仕掛けるのはこれが初めてではない。
蔵から出した後、土方は見張りをつけ彼女を狭い範囲で自由にさせた。
つまりは屯所の最奥…新選組幹部しか立ち入ることの出来ない領域でのみ、だ。

やがて彼女は土方の命を狙うようになった。
いつの間にか包丁を盗み出して突進してきたこともある。
だが彼女の動きは素人丸出しで、回避は容易かった。


何度失敗しても娘は、必死で土方を追いかけていた。


「土方さん、なんであの子をここに置いてるんですか」


総司の口調は穏やかだった。


蝉の声にすべてがかき消されるような夏の日。
土方は不意に、たまには思っていることを口に出すのも悪くないかと考える。

「最初に会った時、あいつの目を見ちまったからな」
「目?」
「見た瞬間分かった。あいつは好きな男が死んだからって、メソメソ泣いて暮らすようなやつじゃねえ。
だからって、じゃあ諦めてさっさと次の縁談に…っていう女でもねえ」
「一途そうだもんね。犬みたい」
「あいつがもし、"刺し違えてでも仇を取ってやる!"なんてことを考えたとしたら、だ」
「今まさにその状態だよね」
「町中でそれをやられたら、斬らなきゃいけなくなるだろうが。
屯所の中での事なら口止めもできるけどよ」
「ふうん、なるほどね」


了解、と総司は微笑んだ。


「あの子のことを守るためにも、あの子の気が治まるまで付き合ってあげないとね」
「ああ。思ったより長引いちまって参ってるけどよ」
「僕、彼女に加勢しようかな」
「てめえ…洒落になってねえんだよ。あのな、総司」
「何です?」

「お前がその気になったら、俺なんざあっという間にこの世から消えてるだろうよ」

じゃあな、と呟いて土方は部屋に戻って行った。
総司はフンと鼻を鳴らす。

「もう少しましな褒め方すればいいのに。
ま、いいか。

それにしても…」

総司の視線が夾竹桃の花を捉える。
今が盛りと、陽の光を目いっぱい浴びて咲き誇るその白い花弁。

「理由はどうあれこんなに綺麗な花を咲かせるくらい手入れできるんだから
きっといい子なのに、ね」


  • #3678 借りぐらしのぐりエッティ 
  • URL 
  • 2016.09/20 22:10 
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