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「お題シリーズ-拍手御礼-」
Balladeを聴きながら

情熱

 ←どうぞこのまま →4月から

難しいことはわからない
わからないけれど、時代が移り変わっていることは肌で感じていた
足繁く通っていた常連客たちの足は遠のき
逆に、聞きなれぬ言葉の客が増えはじめ

ああ 流れは変わってゆくのだと


それは年も押し迫った頃
郭の灯りもそろそろ落とそうかという刻限
まるで夜の闇にまぎれるように、彼は静かに郭の戸をくぐった

案内も請わずまっすぐわたしのもとへやってきた彼は
いつものように表情がなく、いつものように言葉もなく

けれど、いつもとは違う

なぜかわたしはそう直感した

彼の隣に座り、そっと酌をする
盃を満たす酒を彼は黙って飲み干す

三味も、舞も、彼は求めない
弾むような会話も必要ない
ただ傍にいて 触れるか触れないかという距離で酌をする
それが彼の求めるもので

何度目かの酌をすると、銚子は空になり
禿を呼ぼうと立ち上がりかけたわたしの手を彼がそっと掴む
その手を離さぬままわたしを見つめる彼の目は、明けることのない夜のようで

彼に促されるまま、わたしはあげかけた腰を下ろす
眼差しを交わしあったまま、彼は手にしていた盃に口をつけると
そのままわたしに差し出した

それがなにを意味するのか
わたしを見つめる彼の瞳の揺らぎはなんなのか

何も訊かず、わたしは盃を受け取る
彼から視線を逸らすことなく、盃に唇を添えて

呑みなれた味
慣れてしまった香りなのに

この一口は、生涯忘れられぬものになるだろう
そんな予感が胸をよぎった

わたしの手から盃を取ると、彼はこの夜はじめて口元をあげて
一見すればわからないほど、けれど確かに彼は微笑んでくれた

彼の指がわたしの顎をそっと掴み
わたしの手から盃が滑り落ちて

彼の唇からは、ほのかに甘い香りがした


あれは新しい年を迎えるまえのこと

ふたりの想いを抱きしめて
もう孵らない想いをかき集めて
最後のくちづけを交わしたあの夜が

わたしたちがとこしえに結ばれた夜だった

*タイトル 情熱 / UA


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~ Comment ~

 

え?!
姐たん!!
これ、杯交わしてるの?!
うっわー!
祝言の真似事だねぇ。
なんて言うかさ、「身体は離れても心は共に」て言われたみたいだ。
うっとり。
孵らない、か。
物理的に孵らない。でもちゃんと孵ってるものもある。
なんかいいね。
こういう恋って強く相手を思わないと出来ないよ。
羨ましい。
uaは好きな歌手なの。
この歌も勿論大好き。
でもはじめさんの方が大好き!!

晴たん 

コメントありがとー!

そうだよー
はじめちゃんと晴子太夫の祝言だよん♪
このふたりってさ、ホントに大人の純愛ってイメージで書いてるんだ
もちろん体の交わりもなるんだけど
それ以上のもの(=魂の結びつき?)があってさ
ある意味理想の二人だよ

UA、かっこいいよねえ
あの声量、あのパワフルさ!大好きだ!

>でもはじめさんの方が大好き!!

存知あげております

NoTitle 

ああ 祝言か
誓いの盃だったんだね

この話はすごく大人びてるなあ。
酸いも甘いも知ってる人じゃなきゃ書けないと思う。

UAの情熱は私も好きでよく歌ってたけど、
こういう深い想いを感じたことはなかったよ。
目から鱗だった。

シックな話だ。ありがとう。

ぐりんたん 

うん
祝言のつもりで書いたー
ふたりだけの、誓いの言葉もなにもないけど
密やかな祝言、みたいな感じ

余談だけど、このすぐ後に鳥羽伏見が始まる設定だw

>酸いも甘いも知ってる人じゃなきゃ書けないと思う。

酸いばっかで、甘さは知らないかもしれない・・・

>UAの情熱は私も好きでよく歌ってたけど

わたしもUAは大好きなんだけどさ
声が出ねえ!!
なのでいつも聞くばっかりだ
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