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薄桜鬼 (feat.グリーンさん)

第40話 恋心

 ←総司の恋物語6-彼の理由 彼女の理由- →おまえの代わりはどこにもいない

*こちらのお話はグリーンさんとのリレー小説 第40話 ですv
  現在は「土方ルート」に突入しておりまする
  第39話 はこっち → 子供はつらいよ



「初めての口づけっていつ?」

唐突に。
兎の口から洩れた言葉に、紫苑は珍しく表情を変えた。
文字通り眼を見開いて兎を凝視する。
手にしていた湯飲みを落とさなかっただけましかもしれない。
紫苑はそう思った。

「・・・兎さん?」

狼狽を隠そうともせず、とりあえず紫苑は湯飲みを卓に戻した。
紫苑の視線には気付いているはずだったが、兎はほうっとひとつ溜息をつくだけだ。

「何かあったんですか?」

買い物に出たついでに兎屋に立ちより、女同士でとりとめのない話をして時間を過ごす。
これまでそんな付き合いを続けてきた兎と紫苑だったが、こんな風に兎の方から紫苑を訪ねてきた事は一度もない。
しかも兎は、わざわざ長州藩邸にまでやってきたのだ。
これは何かあると思って当然だった。

兎が訪ねて来た時、藩邸には高杉と桂もいたのだが、兎の様子を見ていつのまにか姿を消した。女同士の話に首を突っ込むとろくな目に合わねえからなと笑ったのは桂だった。

「・・・紫苑ちゃんの初恋は高杉さんでしょう?」
「兎さん?」

返答に困る紫苑のことなど眼中にないのだろう。兎はもう一度溜息をつく。

「初恋だからこそ・・・応援してあげたいって思ったのに。」

兎はようやく視線を紫苑にむけた。微笑んではいるが、どこか寂しそうな色が見え隠れしている。紫苑は僅かに目を細めた。

「・・・千鶴さん、ですか?」

ここまで聞けば、兎が誰の事を話しているのかぐらいはわかる。
ただ、なぜここまで兎が気に病んでいるのか、その理由は思いつかない。
いや、思いつかないのではない。もしかしたら、という予感はあったが、それを言葉にすることは紫苑にはできなかった。
兎は縋るような目で紫苑を見つめていた。

「他のことならいくらでも譲れるし、なんでもしてあげたいって思うの。でも。」

絞り出すような兎の声は、揺れる彼女の心そのままだったかもしれない。

「でもこれだけは譲れないの。」
「兎さん」

千鶴の初恋。その相手が誰なのか、紫苑は兎より先に気付いていた。
新撰組の面々と顔を会わせる機会は何度かあったから、その時の千鶴の様子や、「彼」を見つめる眼差しから予測はついていた。
なぜなら、千鶴の眼差しは、自分が高杉を見つめるそれと同じだったから。

兎の心中は察して余りある。
彼女の人となりはよく知っているし、千鶴に対しても、まるで妹のように可愛がっている兎だ。
千鶴の初めての恋。それを応援してやりたい気持ちは嘘ではないだろう。

もし自分が兎だったら?
誰かが高杉に想いを寄せたとしたら?
その誰かが、自分にとって大切な人だったとしたら?

紫苑はふと、障子のむこうに視線を移した。
わずかに開いた障子の隙間からは、霧雨に濡れる庭がのぞいている。
手入れの行き届いた庭は、今日は水墨画のようにぼんやりとして見えた。

「・・・譲れる恋なんて、本物じゃないでしょう?」

紫苑の低い呟きに、兎は顔をあげた。

「千鶴さんだって、そんなことは望んでいない。-兎さんにもわかっているんでしょう?」

琥珀の瞳がまっすぐ兎を見つめている。
心から慈しむような、そんな眼差しに兎の心が凪いでゆく。


紫苑を訪ねたのは衝動だった。

昨日、千鶴の恋の相手が誰であるのか知った。
予想もしていなかったから、どうしていいかわからなかった。
そして夜、彼に抱かれながら。
この恋は譲れないと思ったのも事実だ。
けれど。
どうしても自分の気持ちの整理がつかず、気付けば長州藩邸の前に立っていた。

紫苑は多くは語らない。
なぜ彼女が高杉の傍にいるのか。なぜ高杉は彼女を傍に置いているのか。
兎にはわからない。
わからないけれど、きっと紫苑も色んな葛藤を乗り越えてきたのだろう。
揺るぎない想いを胸に秘めて、ただ高杉だけを見つめ続けて。

自分だって同じだ。
江戸で別れたあの日から。彼の事を忘れたことなど一度もなかった。
忘れてしまいたくて、仕事に没頭した日々もある。
けれど忘れることなど出来なかった。

忘れられるはずがなかった。
全身全霊を賭けて、彼を想っているのだから。

兎の目から涙が零れおちる。
紫苑はそっと兎の手を握った。

「譲ってもらう恋なんて、私なら要らない。」

静かに、けれどきっぱりと言い切った紫苑の言葉は、兎の胸の奥深くに溶け込んでいった。

雨音が遠のいてゆく。
兎が藩邸を出る頃には、雨はすっかり止んでいた。


*ガールズトーク第二弾!女の子の会話って楽しい(笑)
 一応、この帰りに千鶴身投げ事件(いや違うからw)に遭遇する設定ですv
 
 あとはもう好きにしちゃってーww別ルートでも全然オッケーでっせ♪


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~ Comment ~

NoTitle 

ガールズトークきたこれ!
悩む兎と紫苑のまっすぐさが素敵過ぎる!
うさぎさん本当にうまいなあ…

感想は明日書きますね!

NoTitle 

やっとゆっくりPCに向かえるよーー!!!
とはいえ時間はそんなにないぜ。
全ての情熱をここに傾けるぜ!

>「初めての口づけっていつ?」

のっけからどっきどきじゃないですかあ(○´艸`)
突然聞かれた紫苑の戸惑いが目に浮かぶようだっっ
新選組メンバーならもはや日常茶飯事の
『お茶こぼして「熱っっ!!」』をやって欲しかったw
いや、やって欲しくないけどw

>しかも兎は、わざわざ長州藩邸にまでやってきたのだ。

兎…そこまで悩むとはやっぱりいい人すぎる(´;ω;`)
でもうさぎさんと私の中で、兎のイメージがちゃんと合っててよかった♪
私にとってはうさぎさんってこういうイメージなのよー(≧∇≦)

>女同士の話に首を突っ込むとろくな目に合わねえからな

ぶはは!
あなた、男女関係なくロクな目に遭ってないじゃないww
ふむ…それにしても今回はうまく逃げてしまったか。こういうときもあるのか。

>「初恋だからこそ・・・応援してあげたいって思ったのに。」

千鶴のこと本当にかわいがってるんだろうなあ。
っていうか根っから親切なんだよね兎って。
情が深いっていうか。

>「でもこれだけは譲れないの。」
>「兎さん」

紫苑って察しがいい人だから、相談しやすいよね。
聞いてくれるだけでも楽になることってあるし、そういうときに紫苑みたいな子ってありがたい。

>なぜなら、千鶴の眼差しは、自分が高杉を見つめるそれと同じだったから。

この一文好きです!
なんかね、紫苑が自分に素直になってるとこが好き。
余計なこと考えたり気持ちを隠したりしないで、高杉のこと好きって認めてることろがグッとくる。
繊月花とは違う紫苑、いいですねー♪

>「・・・譲れる恋なんて、本物じゃないでしょう?」

殺し文句だ!!!誰を殺してるのかって、私ですよ!
かっこいいなあ。そういえば私、最初っから紫苑のことずっとかっこいいって思ってるよ。
なんでしょうねぇたまに見せる、この抜き身の感じ。
好きなんだよなぁ…

>昨日、千鶴の恋の相手が誰であるのか知った。
>予想もしていなかったから、どうしていいかわからなかった。

この辺を読んで思ったんだけど、兎って自分を出し切れない人ですね。
年上ってこともあるし、気遣い出来る人だし、いつも朗らかで皆を癒してくれて。
だからその分、わがままを言えない人。
土方はそんな彼女のこと分かってて、甘えてる部分もあるけどその分ちゃんと支えてもあげてる。
理想の夫婦w

>全身全霊を賭けて、彼を想っているのだから。

おお…
兎の情熱を初めて見た気がする!
紫苑もそれを感じてるね。

ガールズトークいいですねーー!!
紫苑の「譲ってもらう恋なんて、私なら要らない。」も良かった!!
ちゃんと二人の性質の違いが出てるお話って感じでした。

ありがとうございますーー!!

グリーンさん 

コメントありがとうございます!

>やっとゆっくりPCに向かえるよーー!!!

お疲れさまでした。
土日はお休みですか?ゆっくりしてくださいねー!

>兎…そこまで悩むとはやっぱりいい人すぎる(´;ω;`)

そうなんですよね!
やっぱり「兎」はいい人だし、いい女!
だから土方も惚れたんだよw

>私にとってはうさぎさんってこういうイメージなのよー(≧∇≦)

それは買いかぶりすぎだww
こんなにいい女じゃねーし!

>あなた、男女関係なくロクな目に遭ってないじゃないww

確かに!
桂ってほんと損な役回りだなあ・・・
でもそれが桂のいいところ!

>聞いてくれるだけでも楽になることってあるし、そういうときに紫苑みたいな子ってありがたい。

うんうん!こういう子が傍にいてくれると嬉しい!
でもなかなか現実には難しい・・・

>紫苑が自分に素直になってるとこが好き
>繊月花とは違う紫苑、いいですねー♪

うん。
繊月花とは若干違ってるかもー。
もし高杉と別れてなかったら、きっとこんな感じだったんじゃないかなと思いながら書いてます。
もともとは「高杉一筋!」の子だったし。
高杉が手を離したりするから、あんなのになっちゃったww

>殺し文句だ!!!誰を殺してるのかって、私ですよ!

生き返って!!
まだまだやること、残ってるよ(笑)

>なんでしょうねぇたまに見せる、この抜き身の感じ。

私は、グリーンさんのこの表現が好き!
抜き身ってww
なかなか思いつかないよ。
でも、すっごく合ってる表現だと思う!
きらりんって光る感じww

>兎って自分を出し切れない人ですね

同感です。
なんかね、グリーンさんが初めて兎さんを書いてくれたときから
私の中では「自分を抑えてる人」ってイメージがあって。
自分より相手、みたいな。
つくづくいい女だなあ・・・・

>土方はそんな彼女のこと分かってて、甘えてる部分もあるけどその分ちゃんと支えてもあげてる。

そうそう!
そんな兎のしんどい部分もちゃんとわかってて、抱きしめてくれてると思うのー!!
ほんと、理想の二人だ・・・
なんか、この二人の話ならいくらでも書けそうだもんw

千鶴、ごめんよーっ!!

>ちゃんと二人の性質の違いが出てるお話って感じでした。

よかったー!!
兎と紫苑、どっちもいい女なんだけど、タイプが違うじゃないですか。
でもきっとこの二人、気は合うはずだww

こんな終わり方でごめんーっ!!
次は好きに書いてくださいませ(汗)

NoTitle 

書きたいことが書けない病にハマった(T_T)
どうしたらいいんだー!助けてうさぎさんっっ

第41話 http://green11984.blog.fc2.com/blog-entry-282.html
番外編 http://green11984.blog.fc2.com/blog-entry-283.html

 

読み返したら、どっちもリレーになってないわwごめん!
40話の続きで高杉×紫苑も考えてたんだけど、どうにも最後がまとまらなーい。・゜・(ノД`)・゜・。

グリーンさん 

>書きたいことが書けない病にハマった(T_T)

どうしたグリーンさん!!(滝汗)

昨夜ね、酔っ払った頭で読んできたけど
酔っ払いでも大笑いできたよ(どんな感想w)

>読み返したら、どっちもリレーになってないわwごめん!

・・・うん。それは思った(笑)
でもいいの!
リレーは書きたいことを書くって決めたやん!

 

うさぎさんごめん!
もう1話書けそうなので、それを41話にしてもいい?!
昨日の2つは番外編で!
勝手ばかり言って本当に申し訳ない(>_<)

NoTitle 

書いた!(返信とか待たないw)

第41話
http://green11984.blog.fc2.com/blog-entry-284.html

グリーンさん 

はやっ!(笑)
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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