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薄桜鬼 (feat.グリーンさん)

事件想起 7 (土方編)

 ←簡単なその言葉さえ →事件想起 7 (千鶴編)

*このお話は、グリーンさんとのリレー小説 第12話ですw
  第11話はこちら → 事件想起 6
  なお、第12話は「土方編」「千鶴編」があります。グリーンさんがどっちのお話の続きを書いて下さるのかはわっかりませーんwww



その気配にはその場にいた全員が気付いた。
-いや、正確には「千鶴を除く」全員だったが。

気付いたのはほぼ同時だったが、いち早く腰をあげたのは高杉だった。
無言で杯を膳に戻し、そのまま部屋を出ていく。桂がやれやれ、と肩をすくめた。
そんな二人の様子を興味深げにながめつつ、原田と総司は視線をかわしあった。
斎藤は黙って成り行きを見つめている。

「すまねえな。ゆっくり呑んでる場合じゃなくなっちまったみてえだ。」

心から申し訳なさそうな桂に、原田が笑う。

「お互いさまだ。-どうせ原因はこっちにもありそうだしよ。」
「ほっとけばいいじゃない。ほら千鶴ちゃん、これも食べてみて。美味しいから。」
「あの、沖田さん。何かあったんですか。」

何が起きているのか、総司は当然勘付いているのだろう。けれど慌てた様子は微塵もない。
それは原田も斎藤も同様だ。
差し出された煮物の鉢を受け取りながら、千鶴は不安げに総司を見つめる。
総司はにっこりと笑った。

「千鶴ちゃんは気にしなくていいの。外のことはほっといて大丈夫だから。」
「外って・・・」
「で?あんたは行かなくてもいいのか?」

総司と千鶴のやり取りを見つつ、原田は桂に向かって言った。
桂は苦笑する。

「奴も馬鹿じゃねえからな。面倒なことにはならねえと思うけどよ。」
「そうか?-奴の顔色が変わってたように見えたがな。」

艶然とした笑みの中にもわずかな揶揄が見え隠れする。当然、桂はそれに気付いているが、彼もまた余裕の表情を崩さない。
千鶴の口に「あーん」と箸を押し込みながら、総司は面白そうに笑った。



「・・・風間・・・!」

突然目の前に現れた風間の姿に、土方は小さく舌を打った。
近づいてくる気配に気付かなかった己を内心で罵る。

「-野良犬がこんなところで何をしている。」

さして驚いた様子もなく、風間はいつもの低い声で呟くように言った。

さて、どうするか。

表情は一切動かすことなく土方は考える。
まがりなりにもここは薩摩藩邸だ。今のところ薩摩藩と表立って敵対しているわけではないが、ここで騒ぎを起こせば、会津藩も良い顔はしないだろう。
薩摩藩にとっては新撰組など取るに足らない存在かもしれないが、その後に会津藩がいるとなれば話は別だ。朝廷での権力闘争も話には聞いている。会津と薩摩はいつ敵対してもおかしくない間柄なのだ。
そのきっかけを自分たちが作るわけにはいかない。

土方は袂の中で腕を組んだ。それはさりげない仕草だったが、刀を手にするつもりはない-つまり、ここでやり合う気はない、という意思の表示でもあった。
風間は僅かに目を細めた。

「迷子を迎えに来ただけだ。」
「迷子だと?」

土方の言葉にちらりと藩邸に目をやる。
中からはかすかな笑い声が聞こえてくる。殺気だった気配は感じられない。
ただ、風にのって漂ってくる微かな血の匂いは隠しようがない。
風間の口元に薄い笑みが浮かんだ。

「・・・ほう。その迷い犬は狂犬のようだな。」
「迷子が狂犬なんじゃねえ。飼い主が荒っぽいだけだ。」

土方はさらりと言った。
中に千鶴が捕えられていることをこいつは知っているのか?
風間の表情からはなにも掴めない。

いちかばちかの博打か。

「-ってわけでな。うちのが世話になったようだが、連れて帰るぜ。」
「・・・好きにするといい。俺には関係のないことだ。」

風間は興味なさげに視線を逸らす。土方は小さく息をついた。
「死人さえ出さなきゃ知ったこっちゃねえ」とは言ったものの、出来れば大騒ぎになる事態は避けたかった。
風間が邪魔をするつもりがないのであれば、癪には障るが、ここはおとなしく事をおさめるにこしたことはない。

けれど、そんな土方の思惑を知ってか知らずか、風間はにやりと笑って言葉を続けた。

「ただし。その迷子とやらが、本当に貴様らの元へ帰りたいと思っているのであれば、の話だがな。」
「・・・なんだと?」

瞬間。二人の間に殺気が流れた。どちらからともなく、お互いの眼の奥を探り合う。
ゆっくりと二人の手が動く。視線を逸らすことはない。
先に隙を見せた方の負けであることは、考えるまでもないことだった。

風が二人の間を吹き抜ける。満月の光に照らされた風間の金の髪が煌めいた。

やっぱり何事もなくってのは無理な話だよな。

息を詰めた土方の手が刀を握る。鯉口を斬ろうとしたその時。
不意に視界の中に鮮やかな色彩が飛び込んできて、土方は思わず身を引いた。
風間もまた顔を顰めつつも、上げかけていた手をおろした。

「-申し訳ありません。こちらにいるはずの連れを訪ねてまいりました。」

二人の間に突然割り込んできた-少なくとも土方にはそう見えた-女は、怯えた様子もなく落ち着いた声でそう告げた。
女の琥珀色の瞳が月光に揺らめいていた。


*グリーンさん
  やっちゃいました・・・
  とりあえず「土方編」でございまするwww



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~ Comment ~

NoTitle 

アップお疲れ様です!
いやーとうとう出てきちゃいましたね彼女が!

>いち早く腰をあげたのは高杉だった

突然無言で出てく高杉と、その意味に気付いてる全員。
ここもニヤッとポイントですね!!(´艸`)
んで煮物食わせる総司w
まさかちゃんとした料理が出てきてるとは。
総司が作らせたんですかねw

>「奴も馬鹿じゃねえからな。面倒なことにはならねえと思うけどよ。」
>「そうか?-奴の顔色が変わってたように見えたがな。」

ここのやり取りは、ちょっと皮肉入ってて好きです!
決して気を許してるわけじゃないんだぞーっと!
そしてまだ煮物食わせてる総司w

>今のところ薩摩藩と表立って敵対しているわけではないが、ここで騒ぎを起こせば、会津藩も良い顔はしないだろう。

そうなんですよねー!
ここが難しい。(書いてる側として)
私、歴史そこまで把握してないのでどうしようかな…←勉強したまえ

その辺はうさぎねーさんにお任せじゃだめ?w

>土方は袂の中で腕を組んだ

なるほどー!これが意思表示ですか!
ハッとしました( ゚o゚)かっこいい。

>「・・・ほう。その迷い犬は狂犬のようだな。」
>「迷子が狂犬なんじゃねえ。飼い主が荒っぽいだけだ。」

ここもニヤッとポイントー!
千鶴飼われてたんだw
土方が言うからこそ、粋に聞こえるんですよね~。

>風間は興味なさげに視線を逸らす。

おっ!
ここは意外でした!
そっかぁうさぎさんのちーさまだと、ここはスルーなのね。

と思ったら

>「ただし。その迷子とやらが、本当に貴様らの元へ帰りたいと思っているのであれば、の話だがな。」

やべ!ちーさまかっこいい!!
勘がよすぎるぜっっ
ちーさまと千鶴もいいカップルだもんな~~(>▽<)
(ちーさまルート思い出してニヤニヤ中)

>不意に視界の中に鮮やかな色彩が飛び込んできて

この描写、好き!!!
自分の中にすごく綺麗な映像が浮かびました!!
ちょっとストーリーにはそぐわないんですけどね。
横から見た紫苑の全身像。彼女は少し俯いてて、風で髪が後ろに軽くなびいてて。
降り立った、みたいな感じなんです。

あーうさぎさんにお見せできないのが悔しいっっ
もし似たようなイラストあったら今度お知らせします。

ってか、どこにも紫苑だなんて書いてないけどw

いやーー!すごくいい展開!
こっちの方が難易度は高いです。
私に紫苑(推定)は書けないっすもんw

 

イメージに合うイラストがなかったので、自分で落書きしたw
こんな感じの体勢が思い浮かんだんです( ^ω^ )
http://green11984.blog.fc2.com/blog-entry-236.html?sp

グリーンさん 

コメントありがとうございます!

いやあ・・・やっちゃいましたww
出すつもりはなかったんですけどねえ。
だって!
グリーンさんが「運命の男と会ってるかもな」なんてセリフ書くから! ← 思いきり責任転嫁ww

>突然無言で出てく高杉と、その意味に気付いてる全員。

もうね。
桂・高杉VS新撰組幹部のやり取りは、書いてても楽しいっ!
みんな、一癖ある連中じゃないですか。
私ならこんなトコで呑むのは怖いぞ。

私の文章力では伝わらなかったと思うので、一応伏線の告白をしちゃいますと(笑)

高杉だけが座敷を出て行っちゃったのは、風間VS副長の騒ぎが気になったのではなく、そこに紫苑がいることに気付いたから・・・というつもりですwww
風間と副長だけなら高杉も「好きにしろよー俺は飲んでるからw」ってスタンスwww

伝わってればいいんですけど・・・

>まさかちゃんとした料理が出てきてるとは。
>総司が作らせたんですかねw

だって。千鶴呑めないしさ。
きっとね、総司がね。
「なんか食べるもの、持ってきてよ」
「僕らはお客さんなんだからさ」
なんて言って作らせたんだよ!

今回は腹の探りあいのオンパレードで、ほんと楽しかったー!!

>千鶴飼われてたんだw
>土方が言うからこそ、粋に聞こえるんですよね~。

ごめんww
千鶴は犬じゃねーよ!と自分に突っ込みながら書いてました
でもまあ、ノリで許して(笑)

副長と風間の駆け引きも楽しい♪
どっちも好きだから、勝敗はつけられないんですけどねー!

>横から見た紫苑の全身像。彼女は少し俯いてて、風で髪が後ろに軽くなびいてて。
降り立った、みたいな感じなんです。

見ました!
イラスト見ましたよ!!
すごいよグリーンさん!!!
私、絵心が全くないのですらすらーっと描いちゃうグリーンさんを尊敬してしまう・・・
イメージわかります!!まさにこんな感じ!!
ああ、ラフ画なのが悔しい・・・

これ、もらっていいですか!
もらっていいですか!!
もらっていいですか!!!



 

こんな落書き受け取ってどうするのさw
もちろんどぞどぞー♪

 

土方編だけ書きました!
http://green11984.blog.fc2.com/blog-entry-237.html
ぐだぐた感満載、ごめんなさいー!
あとで新作の感想書きますね♪

グリーンさん 

読んできました!!
感想はグリーンさんのブログで雄叫んでおりますので(笑)

ありがとうございました!!

NoTitle 

>高杉だけが座敷を出て行っちゃったのは、そこに紫苑がいることに気付いたから

あああああああ
気付けなかった…
超悔しいww
そうだよね。高杉ってそういう人だ。

ということで私も、それを踏まえて土方編を書いた次第です。

やっぱ高杉もかっこいいんだよなー。
萌える!
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